ITエンジニア業界に転職する場合、ITエンジニアとしての実績があれば、その実績を面接の武器にすることができます。
しかし、未経験の場合はその武器がありませんから、とにかく不安しかないというのは仕方がないことです。
面接のときに、その不安と緊張がMAXとなり、舞い上がってしまって思うように話せなかったという方もたくさんいらっしゃいます。
でも、じつは面接の裏側を知ることで、その不安や緊張が和らぐこともあります。裏側を知ることは面接対策としても重要になります
面接官だからこそ知っている面接の裏側を覗いて、あなたも面接対策をしてみませんか?
面接官のほとんどは面接の素人?

面接官は「面接のプロ」だと思っていませんか?
企業によっては私のように面接を専門に担当したり、ベンチャー系の企業では経営者がずっと面接を担当するなど面接に慣れている方もいます。
しかし、多くの企業では面接を専門に担当しているという方は少数で、ほとんどの面接官は「ど」が付くほどの素人です。
実は、あなたが面接で緊張するように、面接官も緊張と不安でいっぱいなんです。
つまり、あなたも面接官も状況は全く同じです。必要以上に不安になることはありません。
だからと言って「そんな素人に面接をしてほしくない」なんて思わないでくださいね。
面接のド素人であろうがベテランであろうが、採用の判断レベルに大きな違いはありません。
ここで重要なのは「どんな面接官でも判断ミスや見落としをする」ということです。
よくある勘違いは「緊張でうまく話せなかったけど、相手は面接のプロなんだからきっとわかってもらえたはず」というものです。
面接官と言えども、あなたの顔を見ただけであなたのすべてを見抜けるようなスーパーな人間ではありません。
あなたのことはあなた自身が分かりやすい言葉で説明しないと面接官には伝わらないということです。
逆に、面接官に対して分かりやすい言葉で伝えることができれば、面接官の心を掴むことは難しくないということです。
そのためには面接に向けてしっかりと準備をしておくことが重要になります。
面接の準備については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
面接にもノルマがあります

意外と知られていないことですが、営業活動にノルマがあるように、面接担当者(採用担当者)にもノルマがあります。
面接担当者のノルマは「採用人数」ですね。
分かりやすく新卒採用の事例で紹介します(具体的な数値が出てきますが、あくまで説明上の数値です)。
例えば、「今年は新卒採用は20人」という方針が出たとしましょう。この場合、ノルマは「20人採用」ですね。
採用担当者はどうやって20人を確保するかで頭を悩ませることになります。
20人採用する場合、応募者が20人いればいいわけではありません。
仮に応募者20人善人に内定通知を出したとしても、その20人全員が入社してくれるわけではなく、必ず数名は「内定辞退者」が出ます。
それを見越して内定は25名と少し多めに出しておきます。
最終面接にはその倍の50名を残す必要があります。
さらに2次面接には100名、1次面接には250名・・・とノルマである採用人数から逆算して応募人数を調整していきます。
中途採用の場合は人数も少なくなりますので、少し事情も変わってきますが基本は同じですね。
さて、ここで私が言いたいことは、20名の採用に対して1次面接に250名を受け入れるということではありません。
ポイントは、1次面接よりも最終面接に近づけば近づくほど「辞退」されたときの影響が大きいということです。
もし、2名の中からどちらかを選ばなくてはいけない状況で、一方は「入社してくれるのか分からない応募者」、もう一方は「確実に入社してくれそうな応募者」だった場合、たとえ前者が優秀な人材であったとしても私なら間違いなく後者を選びます。
アメリカの方などは「私を採用したらあなたたちはハッピーになれるよ」的なことを平気で行ってきますが、日本人はそういう表現が苦手というか、謙遜美化的にそういうことは言わない方がいいと思われています。
しかし、面接では「私は絶対に御社に入社します」という気持ちを前面に伝えた方が、明らかに有利になります。
最後の締めの一言でもいいので、ぜひその気持ちを面接官にぶつけてみましょう。
面接官は不安ばかり
面接官は常に不安を抱えています。
面接官に求められるのは、経営陣から要求された採用人数を確保することですが、実はもう一つ大切なものがあります。
それは「優秀な人材を採用すること」です。
優秀な人材というのは「東大を首席で卒業した」とか「前職では営業成績が3年連続トップ」というものではありません。
経営陣が求める優秀な人材というのは、例えば次のようなことです。
- 自分から常に学び続ける姿勢がある
- 5年後、10年後のビジョンを立てて行動できる
- 困難に立ち向かえる精神力と知恵がある
- 高いスキルを会社の利益に役立てられる
- 常に経営視点で仕事ができる
- 円滑なコミュニケーションが取れる
重要なのは、これらを入社してから本当に実行できるかどうかですが、それを面接時に見極めるのは実に難しいことです。
例えば、大リーグで破竹の勢いで活躍したイチロー選手は、日本プロ野球に入団したときはドラフト4位だったのは有名な話ですよね。
しかも、入団1年目は1軍にこそは入れたものの、ほとんどがベンチスタート。
2年目は開幕スタメンをゲットしたものの、年間43試合のみの出場に終わっています。
逆にドラフト1位で入団したものの、結局日の目を見ることなく引退する選手も少なくありません。
このエピソードは、プロのスカウトでさえ人材の将来を予測することは困難であるということを証明しています。
面接で採用した人が、その能力を発揮できたかどうかを測るためには、少なくとも数年かかります。
しかし、内定辞退や入社してすぐに退職するなどの失敗は早い段階で現れます。
なぜ内定辞退されたのか?
なぜ退職したのか?
イチロー選手のような将来伸びるであろう人材を見出すことは、面接官の努力や計算でどうにかなる物ではありません。
しかし、内定辞退や退職などの失敗は、ある程度検証や原因を突き止めることで防止できますので、優秀な人材を採用するということより、どうすれば失敗しないかという方向に偏っていってしまいます。
採用担当者としてこの事態は「失敗」であり、すごく悲観的になってしまいます。
私は内定辞退/早期退職はしません
私は入社することが目的ではなく、入社して御社の利益に貢献します
実はこの2点において面接官の信頼を得ることが非常に重要な面接対策になります。
履歴書の本当の役割は面接の資料

みなさん、履歴書は本当に力を入れてきています。
「履歴書は手書きで書くべき」
「履歴書で修正ペンを使うのはご法度」
「履歴書を読んだ時点で採用可否は決まる」
などなど、都市伝説的な話もネット上にあふれていますし、履歴書作成セミナーなんかは常に大盛況です。
ですが、正直いって履歴書はそんなに神経質になる必要はありません。
履歴書には2つの目的があります。
- 経歴が募集要項に合致しているかの確認
- 面接時に話を進めるための資料
ポイントは2番目の「面接時に話を進めるための資料」です。
面接では質問の答えから話を広げていきますが、それだけだとどうしても話が偏ってしまいます。
そうならないように、履歴書に書かれている内容から話を広げていくこともあります。
そうすることで、わざわざあなたの経歴を事細かく聞くことなく把握できますので、面接という短い時間を有効活用できます。
つまり、履歴書はあくまで無駄な時間を短縮するための道具にすぎません。
さすがに、読めないような字で書いてあるのはよくありませんが、履歴書をパソコンで書いたとかは採用可否には関係ありません。
面接官も人の子、評価基準は変わる
面接官は公平性を含めて、常に一定の判断力が求められます。
とはいえ、面接官も人間ですから、どうしても考え方や判断に「歪み」が出てきてしまいます。
面接は何十年も前から行われてきていますので、歪みに影響されないようにする方法は研究されており、面接官養成セミナーなどで共有されています。
その中から、面接官あるあるではありませんが、代表的な「歪み」について紹介します。
- 直前に面接した人との相対評価になりやすい
- 面接開始5分で合否が決まる
- 評価が気になる
- 急ぎの採用の時は合格率が高くなる
直前に面接した人との相対評価になりやすい
本来であれば、判断基準は常に一定であるのが理想ですが、直前に面接した人が優秀であったり、逆にちょっと残念な人の場合はその評価に引っ張られてしまうことがあります。
例えば、もしあなたの結果が「ギリギリ合格ライン」だったとしても、直前に面接した人がすごく優秀な人だった場合、その人の評価と比較してしまうと物足りなさを感じて「ギリギリ合格ライン」から「ギリギリ不合格ライン」に判断が変わってしまうことがあります。
逆に直前に受けた人がすごく残念な人だった場合、あなたが「ギリギリ不合格ライン」だったとしても、残念な人と比較してしまうことで「合格ライン」に変わってくる場合もあります。
こればっかりは対策のしようがありませんので、面接官にそういう歪みがない人であることを願うしかありません。
面接開始5分で合否が決まる
これは第一印象が合否に影響してしまうパターンですね。
実はすごく優秀で将来性もある人なのに、最初は緊張でうまくしゃべることができなかったとします。
その第一印象で「この人はだめだ」と決めつけてしまい、回答を深掘りすることもなく不採用にしてしまうと本当に最悪ですよね。
こう書くと怒られるかもしれませんが、ベンチャー系の企業で、起業された経営者の方がこのような判断することが見られます。
直感力や決断力が高い故に起こる現象ですね。
自分の評価が気になる
これも面接官あるあるだと思いますが、役員面接が終わった後に「なぜこんな人を役員面接に上げたんんだ」とおしかりを受けることがあります。
おしかりを受けなくても、役員面接まで進ませた応募者の方が、ことごとく役員面接で落とされるという無言のプレッシャーもあります。
面接官としては「この人なら大丈夫」と判断して役員面接に進めたはずですが、自分の判断に自信が持てなくなりますし、判断基準のハードルを上げてしまう場合もあります。
これは、1次面接を担当する面接官と最終面接をする役員と採用基準のすり合わせをしてくださいねということです。
急ぎの採用の時は合格率が高くなる
新卒採用の場合は、計画的に採用を進めていきますが、中途採用の場合は、急に人が辞めてしまうとか、新規事業やプロジェクトが急遽立ち上がるというような場面で採用が行われることがほとんどです。
そのため、できるだけ早く採用してほしいという要望になりますが、急ぎの採用ほど合格率が高くなる傾向があります。
このように、面接官が人間である限り、「歪み」はどうしても起こってしまいます。
応募者であるあなたが面接官の歪みを見抜くことは不可能でしょう。
しかし、このような歪みがあることを知ることで、例えば第一印象を含めて面接開始の5分間が勝負であることや、採用の期限が短い企業を狙うなど、歪みを利用して面接を有利に進めることもできます。
面接には「2:6:2の法則」がある

経営に関わっている方ならご存じかと思いますが、組織づくりでは「2:6:2の法則」と呼ばれるものがあります。
これはイタリアの経済学者であるビルフレッド・パレート(1848~1923)が提唱した「パレートの法則」から派生して生まれたといわれています。
組織には
- 意欲的に働く上位20%
- 普通に働く中位60%
- 怠け者の下位20%
に分かれる傾向があるというもの
実はこの「2:6:2の法則」は面接の現場にも当てはまります。
例えば、中途採用として3名を採用する予定とします。
その3名の枠に対して最終面接に10名残りました。
全員の面接が終わった後で、その場にいた役員や面接官が「誰を採用しようか?」と評価を始めます。
最終面接をした10名のうち、20%である2名は満場一致で「採用」の判断をします。ネガティブな意見はほぼなく、「彼は良かったね」とか「合格でいいでしょう」とポジティブな意見が締めるように、文句なしの採用です。
逆に20%である2名は、こちらも満場一致で「不採用」となります。
もちろん最終面接まで残った方ですので、それなりに引っかかる部分はありますが、「経営者」目線で見るとこのような結果になってしまいます。
上位の20%と下位の20%はほぼ即決ですので、大きな問題はありません。
問題は中位の60%である残り6名から採用者1名を決める場面です。
ここは揉めますね。
「あの人がいいんじゃないか?」「いやいや、この人の方が」「私はその人はちょっとどうかと思いますよ」という感じに残りの1枠を決めるために熱い議論が交わされるわけですね。
中位60%の中から1名を決めるのは、ほとんど精神論に近いものになります。
「あの人の笑顔は良かった」
「自己紹介が面白かった」
ここまでくると、採用と不採用の境界線は誰も分かりません。
つまり、複数の応募者がいる場合は「上位の20%」に入るということも重要ですし、中位60%に入ってしまった場合は第一印象を決める「声」や「姿」も非常に重要になるということですね。
それでも不安な場合は・・・
この記事で詳しく解説しましたが、それでも不安に思っていませんか?
頭ではわかったつもりでも、それを具体的に表現できるとは限りません。
もし、あなたが転職に関して少しでも不安があるのなら、転職エージェントサービスを活用することをお勧めします。
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下記の記事で転職エージェントについて詳しく解説していますので、もし気になる場合はチェックしてみてください。